

Pâtisseries Régionales Françaises
フランス地方菓子
la Loireロワール川下流に位置するこの地域圏は複雑な事情を抱えています。もともとNantesナントはブルターニュ文化圏に位置し、地域圏再編にあたりもう一つのBretagneの中心地であるRennesレンヌとの兼ね合いから、Bretagneからはずれ、この地域圏の首府として据えられました。住民は今でもBretagneのアイデンティティを持ち続けています。さらに東部の中心都市Angersアンジェに至っては東隣のCentreサントル地域圏との関係を主張しています。これはAngersがかつての州であるTouraineトゥーレーヌ、Anjouアンジュといった地域を拠点に発展していった公爵領の一部であったことに由来します。アンジュー家は一方でプランタジネット家とも呼ばれ、英仏百年戦争の発端にもなったイングランド王も配しました。このような歴史上の複雑な背景が今現在でも生き続けていることは大変興味深いですし、人々のアイデンティティは当然『地方菓子』にも反映されています。
【Pay-de-la-Loire / ぺイ・ド・ラ・ロワール】


La Roche sur Yon / ラ・ロッシュ・スュル・ヨン
La Roche sur Yonラ・ロッシュ・スュール・ヨン駅下車。Saint Nazaireサン・ナゼールから2時間くらいです。Vendéeヴァンデ県の県庁所在地であり、そこそこの規模の町ですが、近代的な町で旧市街と呼べる場所は皆無で、これといって”フランス的”ではありません。それもそのはず、この町はNapoléon Ⅰナポレオン一世によって1804年に新設された比較的新しい町なのです。この町は政治状況によって70年ほどの間に8回もその名前を改名したとして有名です。この町でもカメラが故障していて、ほとんど写真におさめることができませんでした。

Nantes / ナント
Nantesナント駅下車。ParisからT.G.V.で2時間くらいです。Loire Atlantiqueロワール・アトランティック県の県庁所在地にしてこの地域圏の首府であり、古くはブルターニュ公国の首都もおかれた大きな町でフランス国内でも6番目の都市です。この地域圏の冒頭でも書いたように、Nantesは歴史的に見て疑いなくBretagneブルターニュ文化圏に入ります。しかし、中世後半から公国の行政権を巡り幾度もRennesレンヌと対立したため、革命後の再編でこのような割り振りとなりました。城もあり、旧市街もあり、また郊外には近代的な部分もある街でした。この街には「Debotté Gautier」という創業1850年の老舗chocolatier・confiseurがあります。

Saint Nazaire / サン・ナゼール
Saint Nazaireサン・ナゼール駅下車。Nantesナントから30分くらいです。フランス最大にして世界最大級の造船所をもつ町です。その工業的な発展のためか、町としてはそれなりの規模をもっています。しかし、その造船所としての重要性から第二次大戦ではドイツ軍によって町は壊滅的な被害を受けました。そしてその後の復興でも最小限の再建しかなされないまま、現在にいたっており、旧市街などといった観光資源は皆無です。また、残念な事にこの時期にカメラを壊してしまい、ほとんど写真に残す事が出来ませんでした。まあ、不幸中の幸いとしてこの場所であったわけですが、、、。